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舞-HiMEの静なつ奈緒のSSを書こうと思っています。 キャラ崩壊酷いと思うので、大丈夫な方だけどうぞ。

キニナルウワサ

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ただいまコメントを受けつけておりません。

キニナルウワサ

静なつです。
どっちかっていうとコメディとかギャグ寄りです。

また、こちらのSSは某大手イラストコミュニティサイトの方にも投げています。
そこの静なつタグを少しでも盛り上げたかったので頑張りました。
おそらく無意味なのは分かっています。はい。






最近、押し掛け女房という単語を耳にする機会が多いように感じる。
いや、実際多いのだろう。
自分に向けてその言葉を発せられる日がくるだなんて、想像もしていなかった。
正確には私の恋人に向けて、だが。

「今日も来たのか。」
「そうどす。なつきが外で浮気せんようしっかり監視せなあかんやろ?」
「誰がするか、そんなこと。」

自宅のドアを開けると、当然のように静留がキッチンに立っていた。
そして開口一番、際どい冗談で私をからかう。
時刻は午後六時過ぎ。
今日はバイクを流してきたので帰宅時間はいつもよりも遅めだ。
ただの気まぐれだが、悪くない時間を過ごした。

というのは嘘。
本当は舞衣に、最近早く帰るようになったのは静留の為かと冷やかされたから
なんとなく真っ直ぐ帰りにくくなってしまっただけだ。
バイクに乗る私がすぐに帰ろうが寄り道をしようが、舞衣の与り知るところではないと言うのに。
一体、誰に意地を張っていたのだ。
夕方の自分の行動を思い返すと馬鹿馬鹿しくて恥ずかしかった。

「遅かったどすな」
「あぁ、ちょっと気晴らし?に」
「あら。気ぃ晴らす必要があらはったん?」
「言葉のあやだ。気にするな」

私は続けて今日の夕飯は何だという至極ありきたりな質問をした。
馬鹿なことを意識して帰りが遅くなったなんて、静留には言いたくなかったから本能的にその話題を避けたんだと思う。

ただ、これが余計だった。
夕飯の支度はこれから始めるところだったようで、静留は包丁を握ったばかりの様子だ。
しかし目が笑っていない。
私はもう少し人の心の機微というか、そういうものを学んだ方がいい、だろうな。

「随分慌てはるんやね」
「な、何がだ」
「ほんまは今日、何処行かはったん?」
「だから、適当にバイクで」
「さっきはほんの冗談のつもりやったけど……………なつき。浮気、してへんよね?」
「はぁ!?どうしてそうなる!」

反射的に反論はしたものの、スッとワントーン落とされた声色に心臓が飛び跳ねた。
包丁がいつもより強くまな板に叩き付けられる。
決してあてつけ等ではなく、わざとらしくもないその音量が逆におそろしかった。

しかし浮気などある訳がない。
私は今日流したルートを出来るだけ正確に静留に伝えることにした。
それで誤解が晴れるかどうかはわからなかったが、何かしら誠意を持って対応しないと大変なことになるし、
なによりそんな濡れ衣をいつまでも着せられているのは我慢できなかったから。
静留は手を動かしながら作業の片手間というように私の話を聞いていた。
ちなみにこの間、目が合うことは一度もなかった。

出来るだけ信号に捕まりたくなかったから大通りを避けたこと。
それでも運悪く、避けたわりには多めに信号に捕まったこと。
海沿いを走ったときに見た海は凪いでいたということ。
長い信号待ちの途中で静留を見かけた気がしたけど、結局は気のせいでその上よく見たら全然似ていなかったこと。
あまり遅くなると静留が心配するかもしれないと、外れにある薬局の前で引き返したこと。

そんな小さな出来事、思惑を打ち明ける度に静留の表情は穏やかになっていった。
最後に、言おうか迷ったが舞衣に言われたことも結局は打ち明けた。
もう何も隠していることはない。
どうやら誤解は完全に解けたようで、私はほっと肩をなでおろした。

「そうそう、さっきの質問やけど……今日はカレーどすえ」
「そこまで調理が進んだら、いくら私でも匂いでわかる」
「そうやろね」

笑いながら答えると静留も同じように笑った。
確かにこの間リクエストしたな、なんて数日前の会話を思い出す。
今度舞衣に同じようにからかわれたら、胸を張って肯定してやろう。
なんとなくだけど、そう思った。


--------


「ずっと気になってたんだが」
「?」
「この言い方は違うか。以前聞いた時に疑問に思ったものの、すっかり忘れてて、今日思い出したことがあるんだが」
「んー、なんどす?なつきったらそないにうちのこと思てくれてはりましたの?嬉しいわぁ」

それはからかうような、茶化すような、至って普通の返答。
なので私も普段通り、それをさらりと流して話を続けた。

「前に奈緒が言ってただろ?『あのウワサ、本当なんだ?』って」
「言うてまへん」
「言ってた。忘れちゃったか?ほら、蝕の祭りのとき、海沿いの崖「知りまへん」
「……」
「……」

おかしい。
静留が人の発言に被せて喋るなんて、普段なら有り得ない。
静留の手元を見るとスプーンが二度空中を掬ってから、ようやくカレーを乗せることに成功していた。
一体どれだけ焦ればそんな恥ずかしい芸当ができるのだ。

「……静留?」
「なつきはいきなりどすなぁ」

これまでに何度か聞いたことのある台詞を吐きながら静留は笑った。
微妙に目線を私から逸らしたまま。
しかしきっと今のは彼女の本音だ。
まさかあんな質問をいきなりされるとは思っていなかったのだろう。
どうやら静留にとって相当都合の悪い噂のようだな。

「なぁ静留。『あのウワサ』ってどんな噂だ?」
「さぁ?案外、結城はんのでまかせいう可能性も……」
「なんだ、やっぱり覚えていたんじゃないか。あの時のこと」

私が言い終わると静留は肘でコップを倒して、テーブルの上に透明の地図を作った。
食器が床に落下しなかったこと、中に入っていたのが水だったことが不幸中の幸いだった。
しかし、かつてない程に動揺した静留を見ている、今の私はとびきり不幸かもしれない。
なんなんだ、頼むからそのあからさまな「あかん……」って顔をやめてくれ。

「静留。例えば、取り巻きの子に手を出したり」
「してまへん」
「本当に?」
「もちろんどす」

台拭きを取りに行った静留の顔は見えない。
ただなんとなく声が震えてる気がした。
直後に食器棚が大きく音を立てた。おそらく静留が足をぶつけたのだろう。
喘ぎ声のように聞こえないでもない、怪し気な呻き声がか細く届く。

こいつどう考えてもクロだろ。
もうわかったから。手を出しててもいいから。
そんなことよりも挙動不審な静留を見るのが辛い。
テーブルを拭き終えて、落ち着いた様子の静留にあえて聞いてみた。

「じゃあ『あのウワサ』って、静留はなんだと思った?」
「え、えっと、それは……同性愛者いうウワサかなぁ思いましたえ」
「何故そんな噂が立ったんだろうな」
「……」
「ごめん、そんなこと聞かれてもわからないよな。今度、奈緒に聞いてみるよ」
「……」

おい、静留。お前いま”やべぇ……”って口が動いたぞ。
なんで標準語なんだ、おかしいだろ。あと眉間に皺寄せ過ぎだ。
いつもの”飄々としてる藤乃静留”、”面倒事はのらりくらりとかわす生徒会長”はどこにいったんだ。
静留の一挙手一投足にツッコミを入れていると、唐突に彼女は沈黙を切り裂いた。

「待っておくれやす!」
「……?」
「結城はんに訊いたらあかん……!あれは、その、うちがなつきのこと好き、いうウワサどす」
「……」
「うち、わかりやすいさかい」
「……」
「……あかん?」
「あかん」

言い訳のクオリティがあまりににも低いのでしばらく無言になってしまった。
ダメに決まっているだろう、そんなの。
周りの人が静留の想い人に気付いて噂するなど、不可能に近い。
いや、不可能だったと断言していいだろう。それ程までに静留は抜かり無かった。

「静留。私以外の人を本気で好きになったこと、あるのか?」
「あらしまへん。命賭けますわ」

質問に答える彼女はとても凛々しく、今まで狼狽えていたのが嘘のようだ。
真っ直ぐ私を見据えて、何の迷いもなくそう言い放つ彼女に惚れ直してしまった。
元々この話をしたのだって、彼女の過去を掘り返したかったからでは無い。
ただ、静留のことで自分の知らないことがあるのが嫌だっただけだ。

「そ、そうか。じゃあ静留。私が初めての相手、ということでいいか?」
「もちろんどすえ。なつきはうちの初恋の人「初恋とかそういうのじゃなくて。分かるだろ?」
「……」
「なぁ、さっきみたいに命賭けたりしないのか?」
「……………か、賭けれますえ」
「そうか」
「ただし、その場合……うち、即刻死なんとあかんようになりますけどな……」
「オイ」

私の感動と愛を返せ。
しかし遂に白状したな。正直、最初のリアクションで薄々勘付いてはいたが。
何はともあれ、これで挙動不審な静留とはおさらばか。

この口振りだと最後までシたんだろうな。
あぁ、そうだろうとも。そもそもあの静留がキスだけなんて生殺しに耐えられる訳がない。

「堪忍……堪忍な……」
「静留……」
「なつきがうちのもんになるなんて、これっぽちも思てへんかったから……それで……」
「気にしてない」
「嘘や……」
「なんというかだな、その、本当に静留の過去のことに文句言ったりするつもりはないんだ」
「……」
「私だってお前の気持ちにずっと気付かなかった。静留がそういう発散の仕方をしていたとしても、しょうがない」
「ホントに、そう思てはる……?」
「あぁ。寂しい思いをさせたな。その、悪かった」
「なんでなつきが謝るん……」
「言っただろう?気付いてやれなかったって。それに、実は……静留が慌てるの見て、ちょっと楽しんでたんだ」

こうして私も白状した。
黙っているのはフェアじゃない気がしたから。

「だから、すまない」
「う、うちそないに慌てては「散々取り乱しておいて何言ってるんだ」
「さ、さっきは、その、たまたまやさかい」
「そうか。……服にカレー、食べさせてるぞ?」

胸元に視線を下ろして、静留はあっ…と呟いた。
よりにもよって白いセーターの日にやらかすとは、今日の彼女はとことんツイてない。
がっくりと肩と落とす彼女が珍しくて、可笑しくて、私は盛大に笑った。

「んもう、いけずやわぁ……」
「ごめんって、ははは」


-------------


「悪いな」
「お互い学生やからねぇ。本業はお勉強や」
「静留もレポート?頑張って」
「なつきにそんなん言われたら五分で完成するわ」
「ロクな内容じゃなさそうだな」

玄関で名残惜しむように他愛もない会話をする。
泊めてやりたいところだが、あいにく期末のテストが近い。
静留が隣に居て集中できる程、器用な人間じゃないんだ、私は。

抱き締めてもいいだろうか。
靴を履いて立ち上がった静留の背中を見てそんな衝動に駆られる。
子供みたいに無邪気にその背中に飛びつけたら。
女のように欲望のままにその手を引いて行為に及べたら。

でも私はそのどちらでもない。
どちらにもなりきれない中途半端な存在。
ほな、と言いながら静留は振り返り、そして私を抱き締めた。

「また明日来ますわ」
「……あぁ」

すぐに体は離れたが、首筋に静留の吐息がまだ残っている。
私もこんな風に、素直に自分を表現することが出来るのだろうか。
女らしく、あるいは子供のように。

そんなことを考えてると、あぁそうそう、ともったいぶった声が聞こえた。
ドアに手をかけた静留が再度、私の方を向く。
声の主は私だった。

この口はおそらく言うべきではないことを言おうとしている。
だけどもう手遅れだ。
例え口を塞いだとしても止めることは出来ないだろう。

「もし、浮気したら殺すからな」

口をついて出た過激な言葉に驚いた。
確かにそういう心配がなかった訳ではないが……。
自分で言っておいて何だが、言い方っていうものがあるだろう。
しかし静留はというと、顔を赤くしてから、嬉しそうに返事をして帰っていった。
あんな満面の笑みは久々に見た。どこの世界に殺すと言われて喜ぶ奴がいるんだ。
静留は変わってる……と呟いて玄関に背を向けると、再びドアが開く音がした。

「なんだ?忘れものか?」
「やっぱり……今日、泊まってってもええ?」

テストが近いと何度言ったらわかるんだ。
最近はしつこく言い聞かせてるからか、その大人しさにホッとしてたのに。
なんだって今日に限ってそんな我が侭を言うんだ。
というかお前だってレポート提出の期限が近いと言ってたじゃないか。
しかも明日は一限目から授業がある日だろう。
そうだ、今日静留がうちに泊まるのはお互いの為にならないんだ。
それは火を見るより明ら

「……早く入れ、ばか」
 
分かってたけど。

「おおきに」

私は、お前にソートーホダされてる。
 



おわり

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そこら辺に転がってる百合豚です。

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