忍者ブログ

184

舞-HiMEの静なつ奈緒のSSを書こうと思っています。 キャラ崩壊酷いと思うので、大丈夫な方だけどうぞ。

11.

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

11.

バンドパロ。
静なつの休日です。
あまりバンドっぽい話がない………………??????????????なんのことですか……………………………??????????????言いがかりはやめてください????????????????







ばちばちと弦を弾く音が聞こえる。
珍しいこともあったものだ。
音のする方を見ると、ソファに座った静留がぼーっとした様子で
テレビを見ながらベースを弾いていた。
神経の向かい具合はテレビ三割、ベース七割といったところか。
演奏の邪魔をしないようにそっと右側に隣に座り、彼女に話しかけてみる。

「静留、どうしたんだ」
「へ?」
「珍しいじゃないか。お前がテレビ観ながらベース弾くなんて」
「うーん。ちょお指が恋しくて」
「は?」
「動かさな落ち着かんのよ」

指が恋しい?
私の気のせいでなければこれはかなり際どい発言である。
音がしなくなったと思ったら、それまで弦を弾いていた右手の
人差し指と中指が交互にベースのボディを叩いていた。

指が恋しい?
動かさないと落ち着かない?
人差し指と中指?

「…すけべ」
「へ?」
「静留のすけべ」
「ちょ、ちょお何や勘違いして」
「どすけべ」
「……」

静留は言葉を失ったまま私に縋るような視線を送っている。
知らない。
知ったことか。
仕方がないだろう?生理だったんだから。

「随分当てつけがましい真似をするんだな」
「え、えと」
「あの、もう少しで終わるはずだから…な?」
「……あ、え、えぇ、はい…?」

というかそういう欲求を楽器で満たすのはどうかと思うんだ。
静留の指弾きを見る度に連想してしまいそうだ、全く。

ん?指弾き?

「なぁ、静留」
「なんどすか?」
「今度のライブ、そんな曲やるか?聞いたことのないフレーズだったんだが」
「やらへんよ。よぉわからはりましたな」
「やはりそうか。いや、指弾きでそんなに動く曲、耳に覚えがなかったから」

そんなに指を動かしたかったのか、静留よ。
淡々と答えられるとこっちが恥ずかしくなってくる。

「本当は指弾きでテンポの速い曲も挑戦してみたいんやけどね」
「そうなのか。今度のライブでやる曲じゃ駄目なのか?」
「指でも弾けないこともないんやけど、曲によってはピック弾きの方が雰囲気出ますさかい」
「なるほど……あぁ、そういえば前にそんなこと言ってたな」
「えぇ。そやから今度持ち曲増やすときにリクエストさせてもらいますわ」

あぁ、と返事をして何か違和感に気付く。
私は何か重大な勘違いをしている気がする。
とにかくそんな想いが胸に引っかかっている。
会話を続けない方が身のためだという自己防衛と、違和感の正体を探りたいという好奇心のせめぎ合いは
一瞬で後者に軍配が上がった。

「にしても、始めた頃はずっと指弾きだったのにな。言われてみれば最近半々くらいだな」
「それなんよ。うち、指弾きの方が好きやさかい、恋しくて恋しくて」
「……ん?」
「なん?」
「そ、その、なんだ?静留」
「なんどすか?」

うん?もしかすると、これは私が非常に恥ずかしい思いをするタイプの……?
いや、まさかそんな。
そうじゃないと思いたい。というか願っている。
やめてくれ、だとしたら私は。

「指が恋しいって…?」
「そのまんまの意味どす」
「えーと…?」
「最近増やした曲がピック弾きの曲ばかりやさかい、指弾きの曲が弾きたいいう意味どす」
「……」

誰か私を殺してくれ。
ほら、誰もいいから、頼む。
可及的速やかに、是非頼む。

「そ、そうか……」

鏡で確認する必要などない。
どうせ私の顔は真っ赤になっていることだろう。
せめて私の中の出来事として終わって欲しい。
妙な勘違いをしていただなんて知れたら私は。

「そうどす」

にっこりと笑う静留。
どうやら私の勘違いには気付いていなさそうだ。

「そやのにどこかのすけべはんは指弾きして遊ぶうちのことをすけべ言わはるんどす」

と考えた私が甘かった。
そうだよな、そうなるよな。

「そ、それは、その……」
「何をどう勘違いしはったん?うちよーわからんのよ、説明してくらはる?」
「う、嘘つくな!!分かってるくせに!」
「なぁーんのことやら」
「大体な!お前が普段から破廉恥なのがいけないんだ!」
「ハレンチて」
「わ、私はお前のことだからてっきり」
「てっきり。……なに?」

急に低い声で囁きかけられる。
続く言葉がみつからない。
確かに静留が普段どんな風に振る舞っていたとしても。
私の中のこの後ろめたい気持ちはつまりそういうことだろう。

「悪かった」
「ん?」
「悪かった、ってば…変な勘違いして……これ以上は勘弁してくれ」
「そやなぁ。なつき、もしかして期待してはったん?」
「う、うるさい!」
「あら?違いますの」
「ちが、わ……ない、けど………」

なんでこいつはこんな答えにくいことばかりを聞いてくるんだ。
何かのアンケートで”あなたの恋人は性格が悪いですか?”という質問があったら迷わずYESに丸をつけてやる。
そんな機会、なかなかないだろうけど。

「ほなもう一個だけ質問に答えてもらいましょか。どんな風に答えてくれても構いまへん、うちはそれを真に受けますさかい」
「真に受ける……?わかった、なんだ?」

静留は愉快そうに微笑んで随分前から再開していた指弾きの手を止めた。
静留の右手が私の目の前に伸ばされる。
そして彼女は弦を弾いていた二本の指をちょきちょきと動かしながら私に問うた。

「どっちが欲しいか答えよし。それで手打ちどす」
「なっ……!」

真に受けるとはそういうことか。
私は静留の言葉の意味をようやく理解する。
要するに意地を張って”いらない”と答えれば生理が終わり次第、その通りに愛されるのだろう。
こいつの性格の悪さには恋人の私ですら度々驚かされる。
それでもこんな聞き方をされたら正直に答えないわけにはいかないだろう。

「……」
「!」

顔から火が出そうなのをなんとか堪える。
そして私は無言で静留の指二本をまとめて引っ掴んで耳元に顔を寄せて囁いた。

「どっちかなんてケチケチするな」

予想外の返答だったのか、静留は何も言わなかった。
しかしくすりと笑い声が聞こえたかと思うと「堪忍な」と言った。
私の手の中で、挑発するように何度か指を折り曲げながら。

「……すけべ」
「今更どす」

自由な左手のハンマリングとプリングだけで奏でられた
単純なベースラインがやけに耳についた。





拍手[6回]

PR

コメント

プロフィール

HN:
七瀬
性別:
非公開
職業:
自己紹介:
そこら辺に転がってる百合豚です。

ブログ内検索

忍者カウンター