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舞-HiMEの静なつ奈緒のSSを書こうと思っています。 キャラ崩壊酷いと思うので、大丈夫な方だけどうぞ。

5.

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5.

バンドパロその5。
バンドの話というよりも、ちょっと音楽や楽器にかすった感じの話ばっかりですね。
ガチのバンドものを期待されてる方には申し訳ないです。

それにしても、こういうの書いてるとうっかり
けいおんのキャラクター出したくなっちゃいますね。







はぁ?
メンバーに思うこと?
そりゃたくさんあるわよ。
例えば練習中にイチャつくな、とか。
あぁなんでもない、こっちの話。

そうね……あたしは悪態しか吐かないけど、別にあの二人が気に食わないワケじゃないわよ。
お世辞にも上手いとは言えないドラムに合わせて演奏してくれるし、すごい助かってる。

リズムが大幅に崩れたり、スピードが極端に遅くなったりはあまりしないと思うんだけどね。
それでもふとした瞬間に”合わせてもらった”と感じるのよ。
あたしも上手く言えないけどね。
ま、正直メンバーには相当恵まれてる思うわ。

あたしは玖我が案外器用にギターボーカルの仕事をこなしてるところも見てるし、
初見の楽譜(スコア)をちらりと見ただけで先のベースラインを想像しながら弾ける藤乃も知ってる。
たまに予想が外れて「あら、こっちじゃないんやね」なんて口にしてるけど。
よくわからないけど、曲っていうのは大体が理屈に基づいて構成されているワケでしょ?
先を読んで演奏できるということはその理屈を直感で察してるってことじゃない。
つまり、オタマジャクシのわからないあたしにとって、藤乃は超能力のような破滅的なセンスの持ち主ってワケ。

藤乃の逸話ならいくらでも出てくる。他にもまだこんな話があるわよ。
あれは二ヶ月くらい前、藤乃の一つ上の先輩が生徒会室に顔を出したときのこと。
パッと見て感じた、いけすかない奴だって。
去年まで生徒会の手伝いとして使われていた男らしいけど知ったこっちゃないわよ。
同じような面をした女共を侍らせながら、その男は我が者顔で教室に入ってきた。

生徒会室では楽譜(スコア)を開いて私と玖我がくだらない口喧嘩をしている真っ最中だった。
その様子を見て、男は「藤乃、お前ももしかして何か楽器やってんの?」と馴れ馴れしく話し掛けてきたのよ。
教室の壁際に玖我のギターと藤乃のベースが立てかけられていたから、すぐわかったんだと思う。
バンドメンバーらしき私達を品定めするようにじろじろと見てきて、めちゃくちゃ気分が悪かったわ。

そのいけ好かない男は、自分もベースをやっていて、始めてからもう二年くらいになるって自慢気に話した。
藤乃に手取り足取り教えてやると、これまた馴れ馴れしく身体に触ろうとした。ハッキリ言って下心丸出し。
この時点で玖我はかんかんに頭に来てて、あたしが羽交い締めにしなければ本気で二、三発は殴っていたと思う。

そんな私達の様子を見てくすりと笑った藤乃は私達の口論の元であるスコアをひらりと奪って
「ここ、弾いとくれやす」と柔らかく微笑んだの。
有頂点になった男はヨユーだのなんだのほざきながら、藤乃のベースを借りてベースラインをなぞった。
何度もなぞった。だけど、フレーズの最後まで辿りつくことはなかった。
つまり男は同じ所で何度も躓いた。そして弾けそうな気配は見られなかった。
あたしはベースは弾けないけど、それでもそれは明らかだと断言できるほど。
初見だからとかそういう問題じゃない。
基礎的な実力が低過ぎる、この男にまだこの曲は早過ぎる、それが率直な感想だった。

みっともないことに、男はすぐに言い訳をした。
「これは静留の楽器だから演奏しにくいに決まってんだろ!っつか随分弾きにくいな。リペア出した方がいいんじゃないか?」
誤摩化すような、笑いを間に挟んだ喋り方が妙に癪に障った。きっと玖我も同じように思っていたと思う。

卒業から半年以上経って未だに昔の校舎に我が者顔で来るような奴だもん。
大方、先輩面ができて居心地が良かったんでしょ。
そしてこういう奴は同学年の者からまともに相手されていないことが多い。
ホント、小物を絵に描いたような男だったわ。

そこまで分かっていても、それでもあたしは許せなかった。
自分の実力不足を藤乃の楽器のせいにしたことが。
ああいう手合いは一番嫌いなの。それこそ反吐が出るほどに。
今度はもう、玖我を止めなかった。
あいつが椅子から立ち上がろうと、机に手をついた。その時だった。

流れるような、歌うようなベースが耳に届いた。
同じ楽器で同じ曲を演奏しているのに、奏者でここまで差が出るものなのかと驚かされたわ。
さらに最後のワンフレーズにスラップのアレンジが加えられていた。
あんたそんなことも出来たの…?って思ったわよ。
確実にレベルの違いを見せつけてからさらに静留は笑顔でこう続けたの。

「うちは運指を見させてもらいたかっただけなんやけど……出来もしないことお願いしてもうて堪忍な、センパイ」

男はぐうの音のも出ないといった様子で用事を思い出したと生徒会室をあとにした。
あたしと玖我は顔を見合わせて、イタズラが成功した子供のようにクスクスと笑った。

あの男が2年間真面目に練習していたとは思わない。
だけど、数ヶ月の経験で曲がりなりにも二年のキャリアを持つ男を黙らせた藤乃はやっぱりすごいと思う。

今度のライブだって大丈夫。
そんな風に心の何処かで思えるのは藤乃の存在のおかげなのかも知れない。

あぁ、今度のライブってのはまだ内緒……って、なんであんた知ってるワケ?
は?それに向けてのインタビュー?ふざけないでよ。
これはつい先日決まったばっかりで……え、ちょっと、マジなの?
あ、あんた!あたしが藤乃と玖我を褒めたところはカットしなさいよ!?
ニヤニヤしてんじゃないわよ!こら!――ブツッ





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