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舞-HiMEの静なつ奈緒のSSを書こうと思っています。 キャラ崩壊酷いと思うので、大丈夫な方だけどうぞ。

8.

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8.

静なつ奈緒。
なつき視点です。
百合豚の百合豚による百合豚のためのSSです。
要するに自己満足。







講義が進むにつれて空気が微睡んでいく。
初夏の爽やかさが微塵も感じられない。
この教授の講義はいつもそんな調子だ。
春から出席しているが、今までこのコマで眠くならなかったことがない。

二週間前、ヘマをやらかしてから奈緒とは会っていなかった。
ケータイの電話帳一覧から奈緒の名前をタップする気にはならなかったから。
理由はそれだけだ。
もしかしたら同じような失敗を犯すのが怖いのかもしれない。
ただ、意識してそのように避けてはいないつもりだった。

奈緒から連絡が来たら、私は誘われるがまま出向くだろう。
それは間違いない。

教室の後ろを陣取ると一人、また一人と熟練の催眠術に掛かって
脱落していく様を眺めることができる。
あと少しでこの退屈な講義も終わりだ。
そんな中、真面目そうな顔ぶればかりが顔をあげていた。
そのメンバーに自分が混じっていることが妙にくすぐったい。

「……っ」

外を見ようとしたら首筋に小さな痛みが走った。
首を動かしたせいで、皮膚が動いたのだろう。

最近、静留は随分と暴力的な抱き方をする。
首の傷もその名残だ。
理由はわからない。
ただ、もしかしたら私が奈緒に連絡を取ろうとしないのも、これが関係しているかもしれない。
それはいつもと違う静留を感じ取って下手に動くのを控えてるのか、
単純に激しく抱かれて肉体的に満足しているからなのか、どちらかはわからないけど。
どちらにしても自分が最低だという事実は揺るがない。

明らかにやり過ぎだった。
行為は徐々にエスカレートしている気がする。
だけど止められない。
それは止める理由がまだないから。
思いのほか私はそっち方面に耐性があった。
いや、相性が良かったと言った方がいいのかもしれない。

乱暴に扱われるのも身体に歯をたてられるのも嫌いじゃない。
頭を押さえて、かたい床の上に組み伏せられるのだって悪くなかった。

最初は静留への後ろめたさから抵抗できないだけだったと思う。
しかしすぐに気付いてしまった。
私はそういう性質も持ち合わせた人間なのだと。
ついこの間まで、被虐趣味はないと思って生きてきたというのに。
私は自分のことすらまともに把握できていない。

奈緒や静留に知らない自分を暴かれていく。
その存在を尊いと感じると同時に、少し怖い。

やっぱり静留は私にとって大事な人だ。
他の人にされたとしたら、抵抗するどころか反撃していたと思う。
奈緒が相手でもそれは変わらないだろう。
私には静留しかいない。
最低なのは重々承知だが、私はあいつを手放すつもりは元よりない。これっぽっちも。

奈緒と関係を持ったのは私の責任だし、それが過ちだったっていうコトもわかっている。
続けるべきじゃないということも。
しかし、情けない話だが奈緒でなければいけない瞬間も私には存在するのだ。
だって……あいつ、すごく可愛いんだ。

「はぁ……。」

講義中に妙な妄想に耽ったことを恥じるようにわざとらしくため息を吐いた。
首の傷に注意ながらゆっくりと視線を動かし、外の景色を眺め続ける。

私の理屈が全く理由になっていないのはわかってる。
屁理屈以下の感情論だ。
だけど浮気に正当な理由なんてある訳が無い。
開き直るつもりはないけど、そういうものだろう。

私は結局、静留というものがありながら、後輩に手を出してしまうクズなんだ。
自分を心の底から最低だと思う瞬間、それは
次の約束を取り付けようと奈緒のことを思い浮かべてケータイに触るときでも、
何事もなかったかのように静留に笑いかけているときでもない。
一人きりで、全てを捨てて逃げ出したくなるとき。その瞬間だ。

自己嫌悪がキリのいいところまで到着すると合図のように鐘が鳴った。
なんということだ。
この講義を一度も寝ずに過ごしたのは初めてだ。

喧騒が広がり、どんどんと大衆の中にいる自分を意識させられ不安になった。
頭の中に静留の顔が浮かび、耳の奥からは奈緒の声が聞こえる。

……どうかしてる。
そう呟いて、虫食いのように小さく軋み、僅かに不自由な身体を動かして教室を後にした。




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自己紹介:
そこら辺に転がってる百合豚です。

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